専門家は、遠くからちゃんと把握していてくれました。「久しぶりですね。そろそろ連絡がくるんじゃないかなあ、と思っていましたよ」オフィスを尋ねると、いつものように、大きな体に満面の笑みを浮かべて出迎えてくれました。「ご無沙汰してしまい、申し訳ございませんでした。実は、うちの会社が今大変な状態なのです。資金繰りも悪化してしまい……。それはともかく、まずはスタッフの件なのです」いきさつを専門家に説明しました。「このままでは会社が崩壊してしまいます。どうしたらいいでしょうか?」専門家は、マグカップのコーヒーを一口飲むと、口を開きました。体に合わせたような大きなマグカップ。「この問題は、大きく2つに分類されます。まず一つは、企画の彼のコミュニケーション力。そしてもう一つが、他のスタッフの○○さんと企画の彼に対するやきもちです」さすがに鋭い分析です。少しの説明だけで、問題の本質をすぐに把握してくださいます。しかし驚かされたのは、そのあとの解決方法でした。「コミュニケーション力は、組織には必須です。それが欠落している人間は、組織を乱します。問題は簡単です。彼を会社からいなくすればいいのです」「ちょ、ちょっと待ってください。ということは、彼をクビにするということですか?しかし、彼のメールマガジンにはすでにファンもいて、今では彼に企画のほとんどを任せていて……」私は狼狽しました。スタッフ間の仲を修復することだけを考えていて、その解決方法を相談しにきたのに、出てきた言葉がいきなりこれです。彼をクビにすることなんてできない。そう思いました。「なにを言っているのですか。○○さんのところは、インターネットの仕事でしょう?どこでだって仕事できるじゃないですか」そうか、SOHOか!企画の彼を自宅勤務にすればいいのか。