内化原理から関係論的視点への転換

2011.07.21

論文「ある中国人5歳児の保育園スクリプト獲得過程−事例研究から見えてきたもの」(1995)は、中国人男児の日本の保育園への適応過程を、7ヵ月間の観察データにもとづいて、生活習慣の獲得という視点から分析したものである。保育園で形成されている生活習俗を「保育園スクリプト」と捉え、対象児の行為的変化を具体的に記述しているが、対象児の外にある習慣を対象児が取り込むという内化原理に依拠している。一方、同著者の論文「幼児の賜文化適応に関する一考察・中国人5歳児の保育園への参加過程の関係論的分析」(2002)では、1995年論文と同じ対象児の観察データを、仲間関係の形成という視点から関係論的に分析している。仲間との関係づくりは、幼児が園に適応するうえで一番時問がかかる適応だといわれている。同論文では、仲間関係という対人環境への適応過程を、対象児が何かを獲得することにより環境に自分を適合させていく「同化の視点」からではなく、対象児と受け入れ側か相互に理解しながら関係づくりをしていく「関係論的な視点」から検討しており、内化原理から関係論的視点への転換がみられる。

[人気サイト]
保育士の資格詳細
http://www.seitoku.jp/kttcsu/