銀行業務を営む銀行は、多くが顧客との為替業務を行っています。そして自己の売買ポジションをその時々の相場の動きに合わせて調整するため、市場での売買を行います。銀行はインターバンク為替市場を自己の外国為替のポジションを調整するために使います。A銀行が顧客から一〇〇万ドルを一ドル=一一〇円で買い取ったとします。支払は一億一〇〇〇万円になります。銀行のバランスシートにはドル建て債権が増え、ドルの買持ポジションとなります。このままA銀行がこのドル買持のポジションを持ち続け、例えばドルが一ドル=一〇〇円に下落すれば、一〇〇万ドルを一億円でしか売れませんから、一〇〇〇万円の損失を被ることになります。逆にドルが一ドル=一二〇円に上昇すれば、一億二〇〇〇万円で売却して一〇〇〇万円の利益を得ることができます。一方で、別のB銀行が一〇〇万ドルを一ドル=一一〇円で顧客に売って(受取は一億一〇〇〇万円)、ドルの売持ポジションになっているとしましょう。この場合、ドルが上昇すれば、B銀行は一〇〇万ドルを買うのに一億一〇〇〇万円以上支払わなくてはなりませんので、損失を被ることになります。ここでA銀行がインターバンク為替市場でB銀行に一〇〇万ドルを売却すれば、A銀行もB銀行も為替の持ち高はなくなります。図3−3のように為替市場で売買が成立し、A、B両銀行ともにドル相場の変動によるリスクがなくなることになります。銀行は為替の対顧客売買や、それから生じる自己の為替ポジションを管理・操作する為替部門を持っています。この部門で為替の売買を実際に行う人たちを、為替ディーラーと呼んでいます。外国為替市場には多くの銀行が参加していますが、その中でも大手の銀行はマーケット・メーカーとして活動しています。マーケット・メーカーは他の銀行や、ブローカーの求めに応じて外国為替市場で売買両サイドの相場を提示し売買に応じる銀行を指します。マーケット・メーカーは、流動性のある市場を実現するために重要な機能を果たしますが、マーケット・メーカーは常に取引に応じる用意が必要であり為替変動により大きなリスクを負う可能性があります。このため、マーケット・メーカーは少数の大手の銀行に限られています。一方、中小の銀行は多くの場合、インターバンク為替市場で対顧客取引の反対取引を行う(これをカバーを取るといいます)のが一般的です。